パート先のスーパーが入社5ヶ月で閉店したよシリーズの最終話です。
(あらすじ)
7月末ごろ、9月末にスーパー閉店、他社スーパーに身売りすることが社長より告げられる。
ただし客にはまだナイショ。
さて、閉店することが決定するとお店にどんな変化が起きるのか?
(↓前回の話)
閉店が決まるとスーパーはこうなる
客が激減する
(レジで使うポリ袋を丸めるぐらいしかやることがない。)
元々多くなかった客が更に減ります。
これまでポイントカードなどの施策で繋ぎ止めていたお客様が、
「ポイントカードなくなったからポイントもつかないし、もうこの店に行くメリットないわ。」
という判断に至り、全然客が来なくなる。
なんだかんだポイントカードというシステムは、ポイント貯めなきゃ、使わなきゃという心理になりがちなので、お客様に定期的に足を運ばせる点ではかなり効果があったんだと思い知らされる。(運用コストはかかるけど。)
チラシの回数が減る
『毎週水曜日は特売チラシの日!』
という通例があったのだが、チラシを作成しない週が増え、チラシがないことにより集客数は目に見えて減った。
新聞を取ってる家庭で、毎週水曜日に『スーパーぼろや』(仮名)のチラシが入ることを長年知っている人は、
「なんで今週はチラシ入らなかったの?」
と、心配する声もあった。(まもなく閉店するからだよ、とはとても言えない。)
リサイクルがなくなる
よくスーパーの店頭、入り口付近なんかに置いてあるリサイクルごみの回収ボックス。
我がスーパーも、発泡スチロールトレー、アルミ缶、牛乳パックなどを回収していたが、9月より回収業者との契約が切れるという理由でリサイクル回収も廃止になった。
リサイクルごみを捨てる目当てで、ついでにお店に寄ってくれた層の人々も離れていったせいか客数は更に減っていった。
自販機がなくなる
お店の外に設置してあったジュースなどの自動販売機は各社次々に撤去されていった。
どんどん店の外観がさっぱりしていき、閉店ムードに拍車がかかる。
棚がスカスカになっていく
(物が全然ない。)
9月末での閉店に向け、9月に入ると徐々に商品の仕入れ量を減らしていった。
物が売れても新しく仕入れていないので、棚は徐々にスカスカになっていった。
9月中旬には販売用のお米の在庫が尽き、お米が売ってないスーパーが爆誕した。
お惣菜の種類も減る
お惣菜コーナーも仕入れが制限され、材料不足により、定番メニューが作れなくなったりしていた。
定番のお弁当容器の在庫も尽きて、いつもと違う容器で提供したりしていた。
逆に余るものも出てくる
(輪ゴム(赤)はお惣菜容器にパック詰めされ、お惣菜の隣で普通に販売されていた。シュール。)
仕入れすぎていた、大きなオードブル用、大口のお寿司用などのパック容器、大量の輪ゴムなどは閉店までにとても使い切れず、店頭販売されることとなった。
刺身、寿司用のしょうゆ、わさび、うなぎのたれなどの小袋も大量に余ることになったので無料で好きなだけお持ちください方式にして配布された。
備品もなくなっていく
(コレのロール式ポリ袋、セロテープがなくなってしまった。)
備品も仕入れなくなっていくため、例えばレジで豆腐やお肉などのパックを入れるポリ袋の在庫も途中で尽き、在庫の残っていたやたら大きいポリ袋を使うしかなくなった。
レジのサッカー台(荷詰め台)によくあるロール形状のポリ袋もなくなり、セロテープも最終日までもたなかった。
店内掃除用のホウキが折れても、ガムテープで補修してなんとか最終日まで頑張って使っていた。
そして閉店日
徐々に品物を割引して売り尽くしセールとしてやってきたが、途中で半額シールを使い切ってしまったため、3割引シールでも半額扱いにしてね!ということになった。
いっそ店内全品半額にすればよかったのに、とも思うのだが、引き継ぎ先である『ミウリサキマート』(仮名)が引き続き販売しそうな、そこそこ有名な定番商品で、賞味期限がまだ余裕のある商品(例えば有名メーカーのカレールーとか、インスタントラーメンとか)は割引しない、というスタンスだったため、客もレジ係も当日は大混乱だった。
(「これ半額にならないならいらないわ!」とか言われるため。)
朝早くの開店時間から多くのお客さんが詰めかけ、昼すぎには一部商品を除き、ほぼすっからかんになった。
惜しまれつつ閉店
それでもお客さんたちは、閉店をとても惜しんでくださっていた。
常連のおばあちゃんたちは「徒歩圏内で行けるスーパーがなくなる。」と、悲しんだし、
「この商品はここのお店でしか取り扱ってなかったのよ!」とか、
「ここのお惣菜大好きだったのよ。」とか、
「約30年前の開店当初から来ていたのよ。」だとか、
人情味溢れるお話をたくさん聞かせていただいた。
地元の方々に愛されていたんだなぁと思う。
おわりに
いろいろあったスーパーでの仕事だが、経験としてはいい意味でも悪い意味でも勉強になったな、と感じている。
お客さんたちが皆いい人たちでも、本部の対応がどうも誠意が足りないように感じてしまうのがとても残念に思う。
閉店日をギリギリまで告知しなかったことにより、手持ちの商品券やポイントカード精算のことも周知できず、現金に換えられないまま紙クズ同然になってしまった人が必ずどこかに残っている。
レジ係をやっていても「閉店しないですよ!」とギリギリまで嘘をつき続けるのはとても心苦しかった。
なんかそのへん、もっとうまくできなかったものなのだろうか。
主婦が働きに出るということ
子供たちは保育園、親は職場という完全母子分離の状態はとても新鮮で、集中できて、更にお給料ももらえるなんて、労働最高ー!!な気持ちを4年半ぶりに思い出させてくれた。
家で子供たちとほぼ密室育児、他の大人との会話がほぼなかった主婦の私は、職場に行ったときの「おはようございます!」「お疲れ様です!」なんていう、他愛もない挨拶のやり取りがとても輝いて思えたし、レジでお客様と世間話するのも楽しい日々だった。
妊娠、出産、育児で、4年半ほど自分でお給料を発生させられない、という主婦の状況は、「私ってなんて非生産的なゴミクズなんだ…」という自己否定感をむくむく育ててしまった。
わずかながらも自分で稼いだ給料、というものがあるだけで気の持ちようが全然違う。
結果としてとても短い期間になってしまったのだが、私は働きに行けることがとても嬉しかったのだ。
終わります
スーパー閉店話としてはこの辺で幕を閉じたいと思います。
閉店話以外のスーパーの思い出話なんかは、また機会があれば書くかもしれません。
長い話にお付き合い頂きありがとうございました!
(この閉店日の翌日が台風で欠勤したことは多分ずっと忘れないであろう…。)